GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「何卒よろしくお願いします」
「親分。忙しいところをすみません。とんでもない厄介事を押し付けてしまって……」
「それで、偽物を作ったって家はどこのことだ?」
「塩町の『大津屋』だそうです」
「そもそもその絵馬を盗み出したのは誰だ?丸多の主人が自分でやったのか?」
「それがよくわからないんですけど……。たぶん自分では手を出してないんじゃないでしょうか。別の奴に頼んだんだろうと思いますけど……」
「むむ。いくら博打に凝ってるとはいえ、大家の主人が自分で手を出すわけないだろう。絵馬屋の奴らが頼まれたのか、それとも他に手伝ってる奴がいるのか、それもよく調べないとダメだ。神社の絵馬をどうこうしたってのは、寺社の管轄内のことで、俺たちの仕事じゃない。特に堀ノ内が現場だっていうんだから、江戸の町人が出しゃばる話じゃない。俺たちは頼まれた仕事だけやって、丸多の主人の居場所さえ突き止めればいいようなものだけど、それだけで済ませるのも残念だ。頼まれた以上は一通りの仕事はしてあげたいと思うんだけど……。とにかく現場を見ないとどうにもならないな。この調子じゃ明日は天気だろう。ともかく一緒に和田まで行ってみようじゃないか。明日の朝5時半(午前9時)までに大木戸に行って待ち合わせていてくれ」
「わかりました」
「親分。明日は絶対晴れ……。星が降るように出てましたよ」
原文 (会話文抽出)
「成程こりゃあ亀吉の云う通り、なかなか面倒な仕事らしい。お城坊主の伜という悪い者が引っからんでいるので、いよいよ面倒だ。しかしまあ折角のお頼みだから、なんとか考えてみましょう。おかみさんにもあんまり心配しねえように云って置くが好うござんすよ」
「なにぶんお願い申します」
「親分。忙がしいところを済みません。飛んだ厄介物を担ぎ込んで……」
「そこで、その偽物の絵馬をこしらえたという家は何処だ」
「塩町の大津屋だそうです」
「一体その絵馬を掏り換えて来たのは誰だ。丸多の主人が自分でやったのか」
「それがよく判らねえのですが……。おそらく自分が手を下したのじゃあありますめえ。ほかに頼まれた奴があるのだろうと思われますがね」
「むむ。いくら道楽が強くっても、大家の主人が自分で手を出しゃあしめえ。絵馬屋の奴らが頼まれたのか、それともほかに手伝いがあるのか、それもよく詮議しなけりゃあならねえ。神社の絵馬をどうしたの、こうしたのというのは、寺社の支配内のことで、おれたちの係り合いじゃあねえ。殊に堀ノ内の先だと云うのだから、江戸の町方の出る幕じゃあねえ。おれ達は頼まれただけの仕事をして、丸多の主人の居所さえ突き当てりゃあいいようなものだが、唯それだけじゃあ納まるめえ。仏作って魂入れずになるのも残念だから、引き受けた以上はひと通りの事をしてやりてえと思うのだが……。なにしろその現場を見なけりゃあどうにもならねえ。この分じゃあ明日は天気だろう。ともかくも一緒に和田へ踏み出してみようじゃあねえか。朝の五ツ半(午前九時)までに大木戸へ行って待ち合わせていてくれ」
「承知しました」
「親分。あしたは確かに上天気……。星が降るように出ましたよ」