岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おい、六助さん。お前はこの頃ここへ来てい…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「おい、六助さん。最近ここに出入りしてるの?」
「おや、親分さんですか。ご無沙汰してます」
「お化け芸はなんでやめたんだ?」
「あの楽屋って風紀が悪く、ご法度の遊びが流行るんで……」
「お爺さんも嫌いってわけじゃないんだろう?そういえば、うちの幸次郎は見なかったか?」
「幸さんは来ましたよ。で、楽屋の者も心配してるんですよ」
「河童を連れて行ったのか?」
「はい、すぐに帰すと言われましたが……。河童が素直に行かないのを、無理にだまして連れて行ったんです」
「河童は何歳で、なんて言うんだ?」
「本名は長吉で、15です」
「どこから拾ってきたんだ。親はいないのか?」
「この一座が四、五年前に信州の善光寺に行ったときに連れてきたそうで、親はいないようです。お母さんが亡くなって路頭に迷ってたのを拾ってきたんだとか……。詳しいことは知りませんが、そんな話です」
「父親もいないのか?」
「はい、長吉が生まれるとすぐに亡くなったそうです」
「不自然死か?」
「お見込みの通り……。大きな声では言えませんが、悪事を働いて処刑されたそうです……」
「ふむ、そうか。それで最近、河童のところに誰かが訪ねてきたか?」
「ありました。六部のような男が……」

原文 (会話文抽出)

「おい、六助さん。お前はこの頃ここへ来ているのか」
「おや、親分さんですか。どうも御無沙汰をいたしました」
「お化けの方はなぜ止したんだ」
「へえ、どうもあの楽屋は風儀が悪うござんして、御法度の慰み事が流行るもんですから……」
「爺さんもあんまり嫌いな方じゃあるめえ。時に、家の幸次郎は見えなかったかね」
「幸さんはお見えになりました。いや、それで楽屋の者も心配して居りますよ」
「河童を連れて行ったのか」
「へえ、すぐに帰すと仰しゃいましたけれど……。河童がなかなか素直に行きませんのを、無理にだまして連れておいでになりました」
「河童は幾つで、なんというんだえ」
「本名は長吉と申しまして、十五でございます」
「どこから拾って来たんだ。親はねえのか」
「なんでもこの一座が四、五年前に信州の善光寺へ乗り込んだ時に連れて来ましたので、お察しの通り両親はございません。おふくろに死なれて路頭に迷っているのを、まあ拾いあげて来ましたようなわけで……。いえ、わたくしは能くは存じませんが、なんでもそんな話でございます」
「親父もないんだね」
「へえ、親父は長吉が生まれると間もなく死にましたそうで」
「変死かえ」
「よく御存じで……。高い声では申されませんが、なんでも悪いことをしてお仕置になりましたそうで……」
「ふむう、そうか。そこで此の頃、河童のところへ誰かたずねて来た者はねえか」
「あります、あります。廻国の六部のような男が……」


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