GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「どうだ。何も当たらねえか?」
「ところで、その小僧はどうした?」
「番屋に預けておきました」
「日が暮れても小僧が帰らなきゃ、新次郎って奴は不安に思って、ここへ様子を見に来るかもしれません。そこで何かしましょう」
「そうだ、そうだ。いいところに気がついた。小僧がいつまでも帰らなきゃ、新次郎は心配して出てくるに違いない。でも、相手はお店者だから、そう早くは出られない。今夜は夜更かしするつもりで、今のうちに腹ごしらえしておこう」
「半七。お前の調べはまだ足りないよ。俺は鍋久の小僧を調べて、こんなことを聞き出した。鍋久の女中のお直っていう女は、昨日突然暇を出されたそうだ。確かに今月は8月で、半期の出入り月のようだが、晦日にもならないうちに暇を出されるのはちょっと怪しい。これには何か訳がありそうだ。お直の住まいは下谷の稲荷町だっていうから、とにかく尋ねて行ってみろよ」
「そうすると、お直って奴も何か関係がありそうですね。今夜すぐに行きましょうか?」
「相手は女だ。まあ、明日でもよかろう」
原文 (会話文抽出)
「もし、定番さん。わたしが引っ返して来るまで、この小僧を奥へほうり込んで置いてください。縛って置くにゃあ及ばねえが、逃がさねえように気をつけて……」
「どうだ。なんにも当りはねえか」
「そうして、その小僧はどうした」
「番屋へ預けて置きました」
「日が暮れても小僧が帰らなけりゃあ、新次郎という奴は不安心に思って、ここへ様子を見に来るかも知れません。そこを何とかしようじゃあありませんか」
「そうだ、そうだ。いいところへ気がついた。小僧がいつまでも帰らなけりゃあ、新次郎は心配して出て来るに相違ねえ。だが、相手は店者だから、そう早くは出られめえ。今夜は夜ふかしと覚悟して、今のうちに腹をこしらえて置くのだな」
「半七。おめえの調べはまだ足りねえぜ。おれは鍋久の小僧を調べて、こんな事を聞き出した。鍋久の女中のお直という女は、きのう出しぬけに暇を出されたそうだ。もっとも今月は八月で、半季の出代り月じゃああるが、晦日にもならねえうちに暇を出されるのはちっと可怪しい。これにゃあ何か訳がありそうだ。お直の宿は下谷の稲荷町だというから、ともかくも尋ねて行ってみろよ」
「してみると、お直という奴も何か係り合いがありそうですね。今夜すぐに行きましょうか」
「相手は女だ。まあ、あしたでも好かろう」