岡本綺堂 『半七捕物帳』 「ともかくも鮫洲へ行ってみよう」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「とにかく鮫洲に行ってみよう」
「やあ、お出かけでしたか?」
「実はちょっと聞き込みをしてきたんですけどね。品川の宿の入り口に駕籠屋があるじゃないですか。あそこの奴らの話だと、おとといの夜、1人の若い侍が来て、桂庵のむさし屋はどこだと聞いて行ったそうです……。その侍の年頃や顔つきが鈴ヶ森の死体にそっくりなので、やっぱり親分の予想通り、鈴ヶ森の事件は鳥亀の奴らに何か関係があるに違いありません。むさし屋の番頭だか亭主だか知らないけど、お六と一緒に暮らしてる奴は勇二といって、この辺の遊び人とも付き合ってるそうですから、何をするか分かりませんよ」
「その勇二は2、3日前からいないって噂ですよね?」
「26日の夜から家に帰ってないそうです」
「鮫洲の金造って奴の家に行ってるって話なので、とりあえず行ってみようと思ってるんです」
「鮫洲の金造……。あいつなら俺も知ってますよ。昨日も品川で会いましたよ。生薬屋で何か買ってました」
「金造はどんな奴だ?」
「まあ、ケチな奴ですよ」
「おい、松。頼むが、品川まで戻って、その生薬屋で金造が何を買ったか調べてきてくれ。風邪薬の葛根湯くらいならいいけど、傷薬とかじゃねえか?」
「了解しました。すぐ調べてきます」
「道に立ってるのも辛い。そこの団子屋で一休みしてろ」
「親分。予想通り、金造は傷の薬を買ってました。金創一切の妙薬って軟膏らしいです……」

原文 (会話文抽出)

「ともかくも鮫洲へ行ってみよう」
「やあ、お出かけでしたか」
「実は少し聞き込んだことがあるのですがね。品川の宿の入口に駕籠屋がある。あすこの奴らの話じゃあ、おとといの晩ひとりの若い侍が来て、桂庵のむさし屋はどこだと聞いて行ったそうで……。その侍の年頃や人相が鈴ヶ森の死骸にそっくりですから、やっぱり親分の鑑定通り、鈴ヶ森の一件は鳥亀の奴らに何かの引っかかりがあるに相違ありません。むさし屋の番頭だか亭主だか知らねえが、お六と一緒に暮らしている奴は勇二といって、土地の遊び人なんぞとも附き合っているそうですから、何をするか判りませんよ」
「その勇二は二、三日前から帰らねえと云うじゃあねえか」
「二十六日の晩から家へ帰らねえそうです」
「鮫洲の金造という奴の家へ行っているという話だから、これからともかくも行ってみようと思っているのだ」
「鮫洲の金造……。あいつならわっしも知っています。現にきのうも品川で逢いましたよ。生薬屋の店で何か買っていました」
「金造はどんな奴だ」
「なに、けちな野郎ですよ」
「おい、松。御苦労だが、品川へ引っ返して、その生薬屋で金造が何を買ったか調べて来てくれ。風薬の葛根湯ぐらいならいいが、疵薬でも買やあしねえか」
「ようがす。すぐに調べて来ます」
「往来に立ってもいられねえ。そこの団子茶屋に休んでいるぜ」
「親分。案の通り、金造は切疵のくすりを買って行きました。金創いっさいの妙薬という煉薬だそうで……」


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