岡本綺堂 『半七捕物帳』 「おまえさんも大師さまへ参詣しなすったそう…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「お兄さんも大師様にお参りしたんですか。ちょっと遅れてお会いできなかったみたいですね」
「親分も参拝してたんですか?」
「すごく寒かったですね」
「それで、ちょっと聞きたいことがあるんですけど」
「昨日、お兄さん、鳥亀って軍鶏屋の話をされてましたよね?」
「お兄さんも聞いてたんですね」
「柘榴口のところで聞いてましたよ。そもそもその軍鶏屋ってどこにあるんですか?」
「前は浅草の吾妻橋のそばにあったんです。でもご主人が亡くなったので店を閉めて、女将さんは品川の方へ引っ越しちゃって。1年くらい会ってなかったんですが、昨日偶然川崎で見かけました」
「女将さんはお六さんって言うんですね。ご主人は……」
「安蔵って言ってました。僕、釣り好きなんですよ。それで鳥亀のご主人とは釣りの仲間で、普段から仲良くさせてもらってたんですが、可哀相なことをしちゃって……」

原文 (会話文抽出)

「おまえさんも大師さまへ参詣しなすったそうだね。ひと足おくれで逢わなかったが……」
「親分も御参詣でしたか」
「ずいぶんお寒うござんしたね」
「そこで、早速だが少し訊きたいことがある」
「ゆうべはお前さんは、鳥亀とかいう軍鶏屋の話をしなすっていたね」
「じゃあ、お前さんも聴いておいでなすったのですか」
「柘榴口のなかで聴いていましたよ。一体その軍鶏屋は何処ですえ」
「以前は浅草の吾妻橋ぎわにあったのですが、亭主が死んだので店を仕舞って、おかみさんは品川の方へ引っ込んで、もう小一年も逢わなかったのですが、きのう思いがけなく川崎で逢いました」
「おかみさんはお六というのだね。亭主は……」
「安蔵といいました。御承知の通り、わたくしは釣り道楽で、鳥亀の亭主とはおなじ釣り師仲間で、ふだんから懇意にしていたのですが、どうも可哀そうな事をしまして……」


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