GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「一時的ないたずらなのか、何らかの理由があるのかは分からないが、いずれにせよ怪しからんことだ。神罰が下る前に早く起きなさい」
「お叱りは重々承知してます」
「でも、そこにいる行者様は何もかも見通せるすごい方だと聞いています。そんな偉い方が、その箱の中に何が入ってるのか最初から分からなかったんでしょうか?」
「その通りだ。蓋がしてあればどんなものでも分からない。その調子じゃ、ここにいる人間もどんな奴か分からないだろうな」
「いや、それで分かった」
「それについて、少しお前に話したいことがある。時間を取らせるつもりはない。ちょっと奥に来てくれ」
「せっかくだけどお断りします。こっちが奥に行くよりも、そっちがこっちに出てきなよ」
「それが話だ。とにかく奥へ……。どうもここでは話しづらい」
「うるせえな。出ろって言ったら素直に出てこいよ」
「お前だけじゃない。そこにいる行者も巫子も、みんな一緒に出てこいよ」
「どうしても出ろって言うのか?」
「くどいな。早く出ろって」
原文 (会話文抽出)
「こなたの母には何か付き物がしているとか云うが、こなたにも付き物がしているらしい」
「当座のいたずらか、但しは仔細あってのことか。いずれにしても怪しからぬ儀、御神罰を蒙らぬうちに早くお起ちなさい」
「お叱りは重々恐れ入りました」
「併しそこにおいでになる行者様は何もかも見透しの尊いお方だとうけたまわって居ります。それほどのお偉いお方がその箱のなかにどんな物がはいっているか、初めからお判りになりませんでしたろうか」
「その通り、どんなものでも蓋がしてあれば判らない。そのお手際じゃあ、ここにいる人間もどんなものだか判りますまいね」
「いや、それで判った」
「それについて、こなたに少しお話し申したいことがある。お手間は取らせぬ。奥へちょっとお出でくださらぬか」
「折角だが御免を蒙りましょう。こっちが奥へ行くよりも、そっちが表へ出て貰いましょう」
「そこがお話だ。ともかくも奥へ……。どうもここではお話が出来にくい」
「ええ、うるせえ。出ろと云ったら素直に早く出て貰おう」
「おめえばかりじゃあねえ。そこにいる行者様もその巫子も、みんな一緒に出てくれ」
「どうしても出ろと云われるか」
「くどいな。早く出ろ、早く立て」