岡本綺堂 『半七捕物帳』 「どうだらう。巧くその幽靈の正體を突き止め…

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青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「やっぱ、どーやってあの幽霊の正体ばらすんだろ。身元さえわかればお経あげたり供養とかして、それで解決すると思うんだが……」
「そっすね」
「なぁ、幽霊ってよ、マジに出んのか?」
「どうでしょね」
「ともかく出るらしいけど、俺も見ちゃいないしな」
「そいつぁ、武士の下働きみたい格好で、ずぶ濡れだったんでしょ。簡単に言うと皿屋敷のお菊みたい」
「そーらしいよ」
「あの家で漫画とか読んでたりすんの?」
「旦那は嫌いだけど、奥の方は読んでるみたい。すぐ近所の田島屋って貸本屋が出入りしてるらしい」
「そこのお寺は?」
「下谷の浄圓寺」
「浄圓寺...へー、そうなのか」
「心当たりでもあるの?」
「小幡の奥さんって美人なの?」
「そーそー、かなりな美人らしい。二十一歳だって」
「それだよ、旦那。どう?」
「屋敷の内輪揉めになんか首突っ込むのはまずいけど、だったら俺に任せてくれないか。二、三日中には絶対解決してみせる。もちろん、これはお前と俺だけの秘密な」

原文 (会話文抽出)

「どうだらう。巧くその幽靈の正體を突き止める工夫はあるまいか。幽靈の身許が判つて、その法事供養でもして遣れば、それでよからうと思ふんだが……。」
「まあ、さうですねえ。」
「ねえ、旦那。幽靈はほんたうに出るんでせうか。」
「さあ。」
「まあ、出ると云ふんだが……。私も見た譯ぢやない。」
「その幽靈といふのは武家の召使らしい風をして、水だらけになつてゐるんですね。早く云へば皿屋敷のお菊を何うかしたやうな形なんですね。」
「まあ、さうらしい。」
「あの御屋敷では草雙紙のやうなものを御覽になりますか。」
「主人は嫌ひだが、奥では讀むらしい。直きこの近所の田島屋といふ貸本屋が出入りのやうだ。」
「あの御屋敷のお寺は……。」
「下谷の淨圓寺だ。」
「淨圓寺……。へえ、さうですか。」
「なにか心當りがあるかね。」
「小幡の奥様はお美しいんですか。」
「まあ、美い女の方だらう。年は二十一だ。」
「そこで旦那。いかゞでせう。」
「御屋敷方の内輪のことに、わたくしどもが首を突つ込んぢやあ惡うございますが、いつそこれはわたくしにお任せ下さいませんか。二三日のうちに屹と埒をあけてお目にかけます。勿論、これは貴方とわたくしだけのことで、決して他言は致しませんから。」


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