岡本綺堂 『半七捕物帳』 「長五郎にどんな話をしなすったんだ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「長五郎にどんな話したんだ?」
「あの おみよは 他殺じゃありません」
「おふくろも最初は気が動転してて、何も気が付かなかったんですけど、昨日の朝、長火鉢の真ん中の引き出しを開けようとしたら、奥の方で何か挟まってるみたいで上手く開かなくて。変だなと思って無理やり開けたら、奥の方に何か書いた紙切れが挟まってたんで、引っ張り出して読んでみると、それが娘の書置きなんです。走りがきの短い手紙で、『理由があって死んじゃいます。先立つ不孝をお許しください』みたいなことが書いてあって、おふくろはまたビックリして、すぐにその書置を持って私のところへ飛んで来ました。娘の字は私も知ってます。おふくろも娘の書いたものと間違いないって言うんです。すると、あの おみよは何か言えない事情があって、自分で首を吊って死んだみたいですね。そのことはとりあえず自分番の方にも届けましたが、今朝も長五郎親分が来られたから詳しくお話しました」
「それは意外な展開になったね。それで、長五郎はなんて言ったんだ?」
「親分も首を傾げてましたが、『自殺なら仕方ない』と言ってて……」
「そうだよね、自殺じゃ調べようがないもんね」

原文 (会話文抽出)

「長五郎にどんな話をしなすったんだ」
「あのおみよは人に殺されたんじゃないんです」
「おふくろもその当座は気が転倒しているもんですから、なんにも気が付かなかったんですが、きのうの朝、長火鉢のまん中の抽斗をあけようとすると、奥の方に何かつかえているようで素直にあかないんです。変だと思って無理にこじあけると、奥の方に何か書いた紙きれが挟まっていたので、引っ張り出して読んでみると、それが娘の書置なんです。走り書きの短い手紙で、よんどころない訳があって死にますから先立つ不孝はゆるしてくださいというようなことが書いてあったので、おふくろはまたびっくりして、すぐにその書置をつかんで私のところへ飛んで来ました。娘の字はわたくしも知っています。おふくろも娘の書いたものに相違ないと云うんです。して見ると、あのおみよは何か云うに云われない仔細があって、自分で首を縊って死んだものと見えます。そのことは取りあえず自身番の方へもお届け申して置きましたが、けさも長五郎親分が見えましたから詳しく申し上げました」
「そりゃあ案外な事になったね。そうして、長五郎はなんと云いましたえ」
「親分も首をかしげていましたが、自滅じゃあどうも仕方がないと……」
「そうさ。自滅じゃあ詮議にもならねえ」


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