GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。
青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』
現代語化
「お参りですか?」
「あんたたちもご飯かな?もっと早く来てりゃお酒でもご馳走したのに、惜しいことしたねえ」
「本当に残念です」
「私と妹で家を空けるのは良くないけど、今日はどうしても代参を頼まれちゃって。一人で二つお願いすると欲張りみたいで申し訳ないから、私と妹で分けてお願いすることにしたんです」
「これが病気ってわけかい?」
「ははっ、冗談でしょ。可哀そうにまだお嫁にも行ってないのにね。代参を頼まれたのは、町内の古着屋の奥さんで……。言い訳みたいになっちゃうけど、そこの娘さんが私のところに習いに来てて」
「じゃあ、その奥さんも信心深いのね?」
「信心深いのはそうなんですけど、ちょっと心配事があってね。そこの息子さんが10日も前から行方不明になっちゃって。色んな占い師に見てもらったら、刃物で怪我するとか、水に落ちるかもとか言われたそうで、奥さんものすごく心配してて。さっきもお堂で御神籤を引いたけど、やっぱり凶が出ちゃって……」
原文 (会話文抽出)
「あら、三河町の親分さん」
「御信心だね」
「お前たちもお午飯かえ。もう少し早いとお酌でもして貰うものを、惜しいことをしたっけな」
「ほんとうに残念でございますね」
「妹と二人で家をあけちゃあ困るんですけれど、きょうはよんどころない御代参を頼まれたもんですからね。一人で二つ願っちゃあ、あんまり慾張っているようで勿体のうござんすから、自分は自分、妹は御代参と、こう役割を決めてまいりました」
「これが病気とでもいうのかえ」
「ほほ、御冗談でしょう。可哀そうにこれでもまだお嫁入り前でさあね。御代参をたのまれたのは、町内の古着屋のおっかさんに……。と云い訳をするのも野暮ですが、そこの妹があたしのところへお稽古に来るもんですから」
「じゃあ、そのおっかさんも御信心なんだね」
「御信心も御信心ですけれど、すこし心配事がありましてね。そこの息子さんが十日ばかりも前から、どこへ行ってしまったか判らないんですよ。方々の卜者にみて貰ったら、剣難があるの、水難があるのと云われたそうで、おっかさんはなおなお苦労しているんです。今もお堂で御神籤を頂いたんですが、やっぱり凶と出たので……」