岡本綺堂 『半七捕物帳』 「お宅も鼠が出ますねえ」…

GoogleのAI「Gemini」を使用して現代語化しました。


青空文庫図書カード: 岡本綺堂 『半七捕物帳』

現代語化

「お宅もネズミ出んすか」
「古い家なんで、ネズミが暴れて困ってます」
「猫飼ったらどうすか」
「そうですねえ」
「猫といえば、隣のばあさんの家は?」
「息子さんは相変わらず頑張ってますか?」
「ああ、よく稼いでるよ」
「これここだけの話なんだけど……」
「表町の方で変な噂してるらしいっすよ」
「へえ、そうですか」
「息子さんが棒で母親を殺したんだって」
「マジすか」
「おいおい、そんなこと軽々しく言っちゃダメだよ」
「親殺しってのは別格だ。もし間違ってたら本人だけじゃなくて、関わった人もみんなとんでもない目に遭うことになる。デタラメは言っちゃダメよ」
「お邪魔しました。今日は雨だから親方が家にいるかと思って来たんだけど、じゃまた出直します」
「あの奥さんが初めて猫ばあさんの死体を見つけたんだな」
「そうです。あの女将さん、猫ばあさんの話をしたらなんか変な感じでしたよ」
「うむ、だいたい分かった。お前はもう帰れ。あとは俺がやるから。大丈夫だ」

原文 (会話文抽出)

「お宅も鼠が出ますねえ」
「御覧の通りの古い家だもんですから、鼠があばれて困ります」
「猫でもお飼いになっては……」
「ええ」
「猫といえば、隣りの婆さんの家はどうしましたえ」
「息子は相変らず精出して稼いでいるんですか」
「ええ、あの人は感心によく稼ぎますよ」
「こりゃあ此処だけの話だが……」
「なんだか表町の方では変な噂をしているようですが……」
「へえ、そうでございますか」
「息子が天秤棒でおふくろをなぐり殺したんだという噂で……」
「まあ」
「おい、おい、そんな詰まらないことをうっかり云わない方がいいぜ」
「ほかの事と違って、親殺しだ。一つ間違った日にゃあ本人は勿論のこと、かかり合いの人間はみんな飛んだ目に逢わなけりゃあならない。滅多なことを云うもんじゃあないよ」
「どうもお邪魔をしました。きょうはこんな天気だから棟梁はお内かと思って来たんですが、それじゃあ又出直して伺います」
「あの女房がはじめて猫婆の死骸を見付けたんだな」
「そうです。あの嬶、猫婆の話をしたら少し変な面をしていましたね」
「むむ、大抵判った。お前はもうこれで帰っていい。あとは俺が引き受けるから。なに、おれ一人で大丈夫だ」


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