トップダウンを裏打ちするのは、フィードバックの存在である。 フィードバックをもとに修正を実施し、時には状況に適応できなくなった戦略を 損失が致命的になる前に破棄する * ことができる。
* : 予め、代替戦略は用意しておく。 ____________________ 発想の元: 川喜田 二郎 : 発想法 創造性開発のために (中公新書, 2008) p.133. http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1628.html > その驚くべき一例は、都市計画の専門家の浅田孝氏から伺った次のような話 >である。都市計画をつくるときに、ソ連を含めた欧米社会では、計画当局が >こういう計画をやりたいという原案を、町角に二、三年店ざらしに出しておく。 >それをみた市民たちから、「この計画はここがぐあいが悪い」などという注意が、 >当局者にフィードバックされる。そこでこれを参考にして、計画原案を修正 >しながらだいたいここらでというところで実施する。その間に二、三年はかける >という慎重さである。また、これら市民からの情報の処理いっさいのために >投ずる金は、日本の場合の百倍である。 マーチン・ファン・クレフェルト=著, 佐藤 佐三郎=訳 : 補給戦――何が勝敗を決定するのか (中公文庫, 2006) p.343. http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1678.html >記録が示すところによれば、[SHAEF(:連合国遠征軍総司令部)において、]決定 >――しばしば非常に小さな問題についての――は次のようにして行われた。 >初めにある問題――たとえばある港が口糧を取り扱うべきかどうかについて >――を解決せよとの説明が発せられた。次いでこの責任は指揮系統を伝わって >下部に渡り、必然的にこれ以上下の者には渡せないところまで達した。 >それから問題の港の偵察が行われ、あらゆる方面から見た報告書が書かれた。 >次に報告書が、指揮系統に従って上に昇り始めるが、この間にあらゆる >関係組織が議論を重ね、絶えず広い見解を反映させ、最後に最終責任者に >到達した。こうして集められたすべての情報を基にして、彼は決断を明らかに >することになろう。このプロセスは組織的で、能率的で、きわめて合理的な >ように見える。 戸部 良一, 寺本 義也, 鎌田 伸一, 杉之尾 孝生, 村井 友秀, 野中 郁次郎 : 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫, 1991) p.388. http://star1ban.blog18.fc2.com/blog-entry-1736.html >日本軍の最大の特徴は「言葉を奪ったことである」(山本七平)という指摘にも >あるように、組織の末端の情報、問題提起、アイデアが中枢につながることを >促進する「青年の議論」が許されなかったのである。