http://www.howclub.com/index2/shopping/yubinoimi.html
高校が男子校であった私にとって、大学一回生のとき実験で一緒だった "貴重な"女学生が指輪をはめていたことは驚きでありました (その君に言いたい のは、実験中に携帯するな、ということ)。 "貴重な"というのは、私は工学部生ですから、工学部機械・材料・エネルギー ・原子力・航空系における男女比率は、ご存知でしょう (学科で、男:女 = 49:1 ぐらいか)。 日本の町工場がバタバタたおれて、ものづくりが危機だとききますが、これには 工科系の女子比率の低さが大きく影響しています。 終戦直後、ベンチャーとして町工場をはじめた人、例をあげると 井深大が東京通信工業(現、ソニー) を設立したのが1946年、当時井深は38歳ぐらい 本田宗一郎が本田技研を設立したのが1948年、当時本田は42歳ぐらい です。このような町工場がたくさんあるように思います。「東京通信工業 株式会社設立趣意書」* のような高い理想を掲げ、創められた町工場も多い ことでしょう。 * http://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/prospectus.html 両社はのちに世界的大企業になりますが、もちろん、それはごくひと握り のこと、たいていは小規模の町工場のままです。そして、55年の後の現在、 どうなるかというと、設立者、小規模な企業ではイコール社長となりますが、 もう95歳です。たいていは死亡、すくなくとも既に引退しています。 さて、後継者は誰にしたのでしょう。小規模な企業では、どうしても「世襲」と なりますが、そのためには、次の条件をすべてみたす子供がいなければならない: 1. 町工場の社長をやる意思をもっている (ときに現在の安定した地位を捨てて) 2. 工学系の知識をもっている 3. 賢い、社長としての資質がある 「鎖はもっとも弱い輪よりも弱い」** 、すべての条件をみたすのは大変です。 それに加え、問題になるのが、条件2 と 工科系の女子比率の低さです。 生まれる子供の比率が 男:女 =1:1 なのに、工科系の女子比率はほぼゼロ。つまり 工科系の女子比率の低さが、町工場の後継者を半減させ、後継者がいないことによる 町工場の倒産件数を倍増させているわけです。 ** 鎖は、構成する全ての輪が「壊れていない」条件を満たすとき、 「壊れていない」ことになります。10個の輪からなる鎖を仮定して考えます。 輪のうち、ひとつは10回引っ張ると壊れるとし、他の9個の輪は100回引っ張る と壊れるとします。 すると、この鎖は何回引っ張ると壊れるでしょうか。 (鎖が壊れない確率)= (第1の輪が壊れない確率)×(第2の輪が壊れない確率) ×……×(第10の輪が壊れない確率) = [ 1- (1/10) ]×[ 1 - (1/100) ]×……×[ 1 - (1/100) ] = 0.822 (鎖が壊れる確率) = 1 - (鎖が壊れない確率) = 1- 0.822 =0.178 (鎖が壊れるまでに引っ張れる回数) = 1÷(鎖が壊れる確率) = 1÷0.178 = 5.62 回 というわけで、この鎖は 5.62 回 引っ張ると壊れることになり、10回引っ張ると 壊れる「もっとも弱い輪よりも弱い」ことになります。