文学の表現力

神永 正博, 小飼 弾 : 未来予測を嗤え! (角川oneテーマ21 Kindle版, 2014 〈底本は角川oneテーマ21(2014)〉) 位置No. 284/1862.

{神永氏} 文学なんて必要ないという人もいますが、とんでもない話です。統計データだけで理解できるほど、世の中は単純ではありません。

───ストーリーがないと、普通の人がどうなのかなんてわからないと。

大塚 英志 : 社会をつくれなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門 (角川EPUB選書 Kindle 版, 2014 〈底本は角川EPUB選書(2014)〉) 位置No. 1091/3355.

柳田にとってやっぱり「公共の文学」、「自然主義運動」という、人々が自分たちの問題について「記録」し、そして共同して一つの枠組みをつくっていくことばの技術はなにより、ちゃんと選挙で投票を自分で考えてできる有権者をつくるのに必要なのだ、と考えます。そして柳田は「選挙民」つまり有権者育成の手段として民俗学を考えます。

大塚 英志 : 社会をつくれなかったこの国がそれでもソーシャルであるための柳田國男入門 (角川EPUB選書 Kindle 版, 2014 〈底本は角川EPUB選書(2014)〉) 位置No. 664/3355.

自然主義、というのは文字通り、自然科学的な方法や見解に基づく文学のあり方を意味します。そもそも十九世紀の文学というのはダーウィンの進化論の登場で、人間も一つの生物に過ぎないんだよ、という考え方が成立したことが始まりです。だから植物学者が植物を解剖学者が死体を観察し、記録するように文学も書かれるべきだ、という考え方が出来上がります。エミール・ゾラの『実験小説論』です。

力ある正義

力なき正義は無能であり、正義なき力は圧制である。なぜならば、つねに悪人は絶えないから正義なき力は弾劾される。それゆえ正義と力を結合せねばならない。―― パスカル『パンセ』 参考

〈力ある正義〉の行為者として、以下を挙げられる。

1. 市場における成功者・成功企業

2. 活動する市民

3. 行政機関

2. に関し、市民が〈力ある正義〉を作るには、以下の 2つが必要である:

(1) 適切な被評価・促進・抑制システム

〈力ある正義〉の後半、正義に関する。

ここでは、正義を、一般市民の集合的意思だと考える。一般市民のなかには、利害を受ける者もいる。

不正義は、一般市民の集合的意思と、活動者の意思が一致していない場合に生じやすい。活動者が一般市民のフィードバック(賛成と反対)を正しく受け、暴走することなく活動しなければならない。適切な被評価・促進・抑制システムが必要である。

(2) リスクに関する良いストーリーの蓄積・共有

ある正義〉の前半、力に関する。

力とは、すなわち、強制力である。強制力の活用を実現しなければならないが、強制力の活用にはリスクを伴う。リスクをとる市民が多数いなければならない。

そのような市民が形成されるためには、リスクに関する良いストーリーが、市民の間で蓄積・共有されていなければならない。そのためには、そのようなストーリーが継続的に、生成され、(市民から)市民へ伝達されていなければならない。

補足:
(1)は境界条件、(2)は支配方程式を指す、と言える。

彼方にこそ栄え在り。寒山の路は窮まらず

彼方にこそ栄え在り (ト・フィロティモ, το φιλοτιμο)

Fate/Zero でライダー(イスカンダル)が言った言葉で、彼方にこそ栄え… – Yahoo!知恵袋

我が国の、初期条件・境界条件・支配方程式

ある大型ショッピングモールにおいて外国人家族をみて、我が国が今日の状況である所以(ゆえん)を考えた。それは、以下の3つに分けて考えることができると考える:

・初期条件: 国家的大型イベント

・境界条件: 外交関係、エネルギー・資源の供給状態

・支配方程式: 民族性

公欲

松陰神社|松陰神社ブログ ≫ 吉田松陰先生語録34

体は私(わたくし)なり、心は公(おおやけ)なり。 私を役(えき)して公に殉(したが)う者を 大人(たいじん)と為(な)し、 公を役して私に殉う者を小人(しょうじん)と為す。

体は私で、個別的なものであり、 心は公で、普遍的なものでなければならない。 私の肉体を使って、身をかえりみずに公のために 役立てる者は、りっぱな人であり、 公である心を私の欲望のために満足させることに 使おうとする者は、 徳のないとるに足らない人である。

ストーリー主義

神永 正博, 小飼 弾 : 未来予測を嗤え! (角川oneテーマ21 Kindle 版, 2014 〈底本は角川oneテーマ21(2014)〉) 位置No. 263/1862. 小飼 弾 氏 による:

事実は事実として存在するのだけれど、我々がそれについて語ろうとすると、必ずストーリーになってしまう。

神永 正博, 小飼 弾 : 未来予測を嗤え! (角川oneテーマ21 Kindle 版, 2014 〈底本は角川oneテーマ21(2014)〉) 位置No. 272/1862. 小飼 弾 氏 による:

 脳がストーリーを作り出すのは、人間も食物を取り入れて生きている生物だからでしょう。意外に無視されがちですが、何かを理解するにはコストがかかっています。網膜に映ったモノの情報が脳に伝わり、何らかの判断を下すためには、時間も掛かりますし、エネルギーも消費します。「人を見かけで判断してはいけない」とはよく言われますが、だからといって自分と関わりのあるすべての人とじっくり語り合い、理解するだけの手間をかけられるほどの暇を私たちは持っていません。だから、脳は無理矢理ストーリーを作って、ダイジェストするのです。

参考:
【第4回】人間にはストーリーが必要だ|未来予測を嗤え!|小飼弾/神永正博|cakes(ケイクス)

我が主軸 2015年2月書付

[2015/12/30追記:] ※2015年12月30日に、加筆の上で正式版「我が主軸 2015年版」の公開を開始しました:

● 端書

私が自ら企画した事業、及び私が付託されている事業の一切を経営し、能率的な運営により、これを発展せしめ、もつて我が意図する方向に世界を遷移させることを目的として、ここに私を定義する。

初出: 第1条

● 理念

〈後につづく者たちが我々よりも苦しまない世の中を確固として構築し〉、且つ〈我々は犠牲の世代にならず、現在を確保し、未来を準備する〉ことにより、不幸の最小化を図り、以て幸福を最大化する。

● 〈判断・行動基準〉、即ち 志向

 ○ 産業興隆、叡智結拓

叡智を結び、集約し、難所を突破して、革新を行う。

革新によって、産業を興隆させ、民の気持ちの淀み具合を小さくし、以て社会に慣性をもたせ、社会に累積性を持たせる。

初出: 社会が持続的に発展するために

そのような社会は、文化的である。文化的であるとは、社会を構成する集団において帰納的な情報量(:物体も含め)が多いことである。文化の度合いは、社会の深さ、社会が認識・関係する世界の広さ、情報の共有・活用具合、の積(掛け算の答え)を示す。

初出: 文化に関する考察

関連:
価値は消費されて生存と文化を生む
経済的生産は知的歴史にとって基礎をなす
複雑性と付き合っていこう
叡智結拓のために

 ○ 高民立世、超民連絡

  ・高民立世

高民(=知的に高く または 広く、知性・知能を意識的に発揮し躍動する民)(多数)を世に立たせ、高民(多数)によって世を立たせる。

初出: 高民立世

関連:
「知的ネット社会」構成者の心得

  ・超民連絡

社会が天才・秀才ばかりである必要はないが、天才・秀才が生き・活きる社会であるべきである。

そのために、天才・秀才の思考(の一端)が共有されるべきである。それは、天才・秀才と一般能力者の架け橋になり(天才・秀才を得体の知れない者にしない)、且つ社会に天才・秀才を補給する後方連絡線となる。これによって、天才・秀才は孤立せず、消耗されない。

初出: 天才・秀才が生き・活きる社会

(補足: 〈産業興隆、叡智結拓〉と〈高民立世、超民連絡〉は、ユグドラシルからの想起と対応する)

● 水準

(短期的) 勝つために、思考し行動する。

初出: 「意味のないことをやる」ということに対して、緊張感をもって生きる

(長期的) 世界は、泡沫(うたかた)である。我々は生き残り、将来の秀でた人のために理論を、一般の人のために実例を、優れた形態で残すことにより、人類の累積性を高め、将来の人類の生き残りを図るべきである(それによって、また人類の累積性が高まる)。

我々は、可能な限り前進する。将来の人類は、さらにはるかに前進するであろう。

初出: 宣言

2015年 2月11日
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ユグドラシルからの想起

北欧神話では、世界樹 ユグドラシルの3つ根の下には、3つの泉がある:

一つは、ウルズの泉

 ウルズの泉において、ノルンたちは、ユグドラシルが枯れないようこの泉の水と泥を混ぜたものを常に注いでおり、お陰で樹勢が保たれている。

 私は、ウルズの泉は、産業を示唆していると考える。

二つには、ミーミルの泉

 ミーミルの泉には、知恵と知識が隠されているとされており、賢い巨人ミーミルが所有している。知識を求めて訪ねてきたオーディンは、泉の水を一口飲みたいとミーミルに頼み、代価に片方の眼球を求められ、これに応じたため以来片目となった。

 私は、ミーミルの泉は、知恵と知識を示唆していると考える。知恵と知識は、片目の価値がある。

三つには、フヴェルゲルミル

 フヴェルゲルミルでは、ニーズヘッグが、ユグドラシルの根をかじっている。

 私は、フヴェルゲルミルは、社会に寄生する者を示唆していると考える。

すなわち、社会は、産業と、知恵と知識に支えられる。そして、社会に寄生する者は、確かに存在する。

(各項目のWikipedia記事を参考した)