戦前・戦中日本の失敗の原因

戦前・戦中日本の失敗の原因 を 3つ挙げる:

● 大きすぎる目標 (理想に向かう中間目標の設定が拙い)

大きすぎる目標

その特徴:
 ・多様な個人・生活を軽視している。大きく少数のものを頼りにする。
 ・無限だと考えているものを頼りにする。

● 希望的観測、机上の空論、こうあってほしいという発想

庵野 秀明=脚本・編集・総監督 : シン・ゴジラ (2016).
(庵野 秀明=企画・責任編集 : ジ・アート・オブ シン・ゴジラ (カラー, 2016) 附属 シン・ゴジラ 完成台本 p.65.)

大臣。先の戦争では、旧日本軍の希望的観測、机上の空論、こうあって欲しいという発想等にしがみついたが為に、国民に300万人以上もの犠牲者が出ています。根拠のない楽観は禁物です

●「空気」に支配される決断

解説:
刺激等価性――「空気」の本質。感情移入と非論理をつなげるもの
図書館戦争ドラマに、人の脳の性質を整理する

対策:
理由を求めよ

大きすぎる目標

戦前・戦中日本の失敗のひとつは、大東亜共栄圏という目標が大きすぎたことであろう。日華事変(:日中戦争)を継続しながら大東亜共栄圏を建設することは、目標が大きすぎた:

目標が大きすぎる (理想に向かう中間目標の設定が拙い) *1

 その特徴:

 ・多様な個人・生活を軽視している *2。大きく少数のものを頼りにする。 *3

   その結果、以下の機序で損失が生じる:

    単一化による不具合が生じる (そして、不具合への対処が不足している)。

    骨ではなく殻をつくっており *4、駆使や巧い運用ができない。

 ・無限だと考えているもの(例えば、精神力・神通力など)を頼りにする。 *5

*1:
理想に拘泥した国力の使用は非常に危険

*2:
良い理想(現実的な理想)は、必要から生まれる。良い理想では、循環ができている。このブログ記事では、理想を目標と読み替える:

アドルフ・ヒトラー=著, 平野 一郎, 将積 茂=訳 : わが闘争 (下) (角川e文庫, 2016〈底本は、角川文庫, 2001〉) 位置No. 240/6648.

人々は一般に、最も崇高な美の尊さが、けっきょく、ただ倫理的な合目的性の中にだけ存するのとまったく同様に、最高の理想はつねに最も深刻な生活の必要に即しているということを知らねばならない。

アドルフ・ヒトラー=著, 平野 一郎, 将積 茂=訳 : わが闘争 (下) (角川e文庫, 2016〈底本は、角川文庫, 2001〉) 位置No. 247/6648.

人間はたしかに、高い理想に奉仕するために生きているばかりでなく、また逆にこの高い理想が人間としての存在の前提をなしていると考えてよい。そのように循環が形づくられているのだ。

*3:
(孫たちの戦後70年) 創作・研究の現場から(4) 理想社会をあきらめよう 歴史学者 中島岳志氏. 2015/ 7/ 2付 日本経済新聞 朝刊. 抜粋

今の社会が抱える問題や不安を一挙に「最終解決」し、理想の世界を実現できたら――。そんな純粋な欲求が、昭和の戦争へと人々を駆り立てたのではないか。歴史学者の中島岳志(40)は、こうした視点から戦前の日本を見つめる。

 その「理想」と「志」は自国と他国に多大な犠牲をもたらして失敗した。同じ過ちを繰り返さないためには「理想社会の現実化など無理なんだという、積極的なあきらめを持つことだ」と主張する。「人間が不完全である以上、不完全な社会をどこまでも生きて行かざるを得ないのだから」

*4:

(2017/4/9追記) *5:
関連: 創造力は無限ではない、貴重である。そして重要である

DEX 整備へ、4年間で8隻建造

海自の新型護衛艦、4年間で8隻建造へ=防衛省関係者 | ロイター

防衛省は島しょ防衛強化のため計画している海上自衛隊の新型護衛艦について、2018年度から4年間で8隻建造する方針を固めた。

「新型護衛艦」とは、「DEX」や「30DX」等の呼び方がある艦のこと。

小型艦で島嶼作戦が可能。多機能艦を、コストを下げて多数整備し、島嶼地域での不意の損失(モーターボートでの体当たり攻撃など)が艦隊全体に影響しないようにする。

空母を持たない我が国では、艦に求められる防空能力(対空戦闘能力)が高い。また、DEXは、多機能艦である。小型艦、且つコスト制限がある中で実現する(乗組員育成を含め)のは苦心されるところであろう。

初出:
Facebook 2017/ 2/18

安心してお金が使える国

2011年 8月28日放送の、読売テレビ「たかじんのそこまで言って委員会」において、北川 弘美 さんは、「安心してお金が使える国」であってほしい、と言いました:

「安心してお金が使える国」とは何であるか、について、次の文章があります:

西部 邁 : 昔、言葉は思想であった 語源からみた現代 (時事通信出版局, 2012〈底本は時事通信社(2009)〉) 位置No. 233/3636.

「市」は、漢語でいって、「平」を意味します。換言すると、「公平な価格」で取引が行われる場所、それが「しじょう」であるはずなのです。ジャスト・プライス(適正価格、just price)あるいはフェア・プライス(fair price、公正価格)の通念が社会に何ほどか定着していてはじめて「しじょう」は成り立つ、とみなければなりません。

西部 邁 : 昔、言葉は思想であった 語源からみた現代 (時事通信出版局, 2012〈底本は時事通信社(2009)〉) 位置No. 241/3636.

交換における「自由」と一口にいいますが、情報不足のゆえに相手に騙されてしまう自由、やむをえぬ思慮不足のために流行に煽られる自由、不満足な条件におかれているせいで半強制的に何事かを選びとらされる自由など、様々な種類のものがあります。

暴力が富の再配分を保証する

不平等は「暴力」によって解消される – GIGAZINE (抜粋: TAKAGI-1 たんぶら 2017/ 1/28)

「歴史上のどの時点においても、暴力が富の再配分を保証するのに必要だったということは、普遍的な事実です」と語るのはスタンフォード大学で人文学と古典・歴史の教授を務めるWalter Scheidel氏です。Scheidel氏は「The Great Leveler」の著者であり、本書の中で、石器時代から現在までの歴史の中で、多くの不平等が暴力によって解消されてきたという事実を明らかにしています。

至道 流星 : 雷撃☆SSガール (講談社BOX, 2009) p.270.

「理想の社会なんて、最初から無いってわかってる。だからこそ、蓄積する負債と腐敗を掃除するのに、周期的な革命か大戦が必要だと思うわ。今なら一〇〇年単位でね。今までも人類はそうやって矯正してきたし、そしてこれからもきっとそう。でも私なら、これから三〇〇年維持できるシステムを創り上げてみせる」

注意:
富の再配分は重要な課題ではあるが、社会全体の一側面にしか過ぎない。