都市交通審議会答申第7号(1963年)・第13号(1971年)

大阪市の概況について

p.8に 都市交通審議会答申第7号(1963年)「大阪市及びその周辺における高速鉄道の整備増強に関する基本計画について」、
p.9に 都市交通審議会答申第13号(1971年)「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網整備増強に関する基本的計画について」 の図が載っている。

阪急新大阪千里環状線

【謎】阪急千里線・南千里駅~箕面線・桜井駅の延伸に関するメモ | Stella Rail Side では、阪急千里線の南千里駅(旧称、新千里山駅)から北側の区間の建設について、阪急・北大阪急行の社史や公的資料をもとに丁寧に調査されています。

その中で触れられていたのが、関西空港と大阪がリニアで結ばれる!? 実現してほしかった未成線ランキング 関西編 | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】の「阪急新大阪千里環状線」。

関西空港と大阪がリニアで結ばれる!? 実現してほしかった未成線ランキング 関西編 | 住まいの本当と今を伝える情報サイト【LIFULL HOME’S PRESS】

3位:阪急新大阪千里環状線(338票)

1948(昭和23)年、当時小型車が走っていた京阪神急行電鉄(現 阪急電鉄)宝塚本線の混雑を緩和しようと、大型車で神戸本線に乗り入れるために宝塚本線曽根駅~神戸本線神崎川駅の免許を取得するも、実現していなかった。その後1961(昭和36)年に宝塚本線の混雑緩和を目的に、淡路駅から北へ延びていた千里山線(現 千里線)の終点千里山駅と箕面線の桜井駅をつなぐ路線の免許を取得。現在の南千里駅(旧 新千里山駅)や千里中央駅を経て桜井駅へ至る計画で、1963年には千里山駅~新千里山駅を開通させた。また、1964年の東海道新幹線開業を前に、1961年には新幹線が発着する新大阪駅へのアクセスと京都本線の混雑緩和のため、十三駅~新大阪駅~淡路駅と、神崎川駅~新大阪駅の免許も取得しており、これによって新大阪駅~淡路駅~千里山駅~桜井駅~曽根駅~神崎川駅~新大阪駅の環状線計画が形作られた。

「阪急新大阪千里環状線」という呼び方は初めて見ましたが、環状路線の計画については、下記の記述から知っていました。

川島 令三 : どうなる新線鉄道計画 西日本編 (産調出版, 1994/10/25) pp. 120-121. (「阪急千里線延伸」の章)

【路線概要】 阪急では吹田市・箕面市・豊中市などをめぐる環状路線の計画を待っていた[原文ママ。「持っていた」が正だと考える]。具体的には、北千里から国道171号線に出て, 同国道に沿って西進し箕面線桜井まで延ばし, 宝塚線曽根より同電鉄の免特許線を経由して新大阪に至り, そこから十三[原文ママ。「淡路」が正だと考える]を経て再び千里線に至るルートである. 当初は南千里一北千里間は支線とし, 南千里から桜井までの新線を千里線の本線としていたが, 北大阪急行の建設で北千里経由に変更したのである.

阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線 の動き 2017~2020年

2020/2

2018/4

2017/6

阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線 計画の今昔

2022年12月27日、阪急阪神ホールディングスの 嶋田泰夫 副社長(当時。2023年3月から同社社長)が、産経新聞のインタビューにて、阪急新大阪連絡線(新大阪-十三)、及び なにわ筋連絡線(十三-うめきた)の2031年開業方針を明らかにしました

私が、これら新線計画の全体像をはじめて知ったのは、1995年ごろに 川島令三 : どうなる新線鉄道計画 西日本編 (産調出版, 1994/10/25) pp.123-125. を読んだ時です。関西空港の開港(1994年9月)とほぼ同時期に、同書は発行されました。

この記事では、同書を読み直して、30年前である1994年時点の阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線 計画と、現在の計画を比較します。

なお、1989年(平成元年)の運輸政策審議会答申第10号「大阪圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画について」に「平成17年(2005年)までに整備に着手することが適当である区間」として挙げられている区間は、阪急新大阪連絡線(淡路-新大阪-十三)・なにわ筋連絡線(十三-うめきた※)であるため、1994年時点の阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線 計画では、新大阪連絡線は、淡路駅まで建設され、京都線・千里線に接続しているとします。

また、川島氏の著書では、阪急神戸線と接続する神崎川-新大阪間の阪急免許線の同時開業が記載されていますが、運輸政策審議会答申第10号に含まれないため、神崎川-新大阪駅間に関する記述は除きました。

1994年と2023年の 阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線 計画には、下記の違いがあります:

1994年時点では、
 運行上の目的: 阪急各線の運行の高度化 (自由度向上)。
 なにわ筋線方面には、うめきた駅で、阪急 3本線の一部列車と1回で乗り換え。

2023年では、
 運行上の目的: なにわ筋線の運行の高度化 (自由度向上)。
 なにわ筋線方面には、十三駅で、阪急 3本線の全列車と1回で乗り換え。

以降では、個別の項目について記載します。

軌間

1994年時点:
 標準軌 (1435 mm、阪急各線と同じ)

2023年:
 狭軌 (1067 mm、なにわ筋線(JR・南海)と同じ)

阪急 新大阪駅の運用

1994年時点:
 阪急京都線の中間駅

2023年:
 なにわ筋線(南海系統)の終着駅 (運行本数増に貢献)

阪急 うめきた駅の運用

1994年時点:
 なにわ筋線への乗換駅
 阪急線の大阪梅田方の終着駅 (運行本数増に貢献)※※

2023年:
 なにわ筋線に乗り入れ (阪急独自のホームは無し)

補足:
※ 梅田貨物駅跡地に建設される駅を、運輸政策審議会答申第10号や川島氏の著書では「梅田北駅」と表現されているが、本記事では「うめきた駅」(実現されたのは、JR大阪駅うめきた地下ホーム)と表現する。

※※ 川島氏の著書では、(1)阪急3本線の特急の うめきた駅発着と、(2)新大阪駅経由列車のみの うめきた駅発着 の2案が併記されている。

今となっては(1)は夢物語に思えるが、なにわ筋連絡線と阪急既存線との直通有無での整備費用が比較されたのは、2007年の西梅田・十三連絡線検討 (地下鉄四つ橋線の十三延伸構想、2004年の近畿地方交通審議会による「中長期的に望まれる鉄道ネットワークを構成する新たな路線」に含まれる。大阪市は阪急神戸線への直通を構想し、整備費用検討では十三どまり案と十三以北で阪急宝塚線などに乗り入れる案が検討された) の際だとされ(西梅田・十三連絡線構想、阪急やJR西など事業化へ詰めの協議 – MSN産経ニュース (2007/10/13))、1994年時点では(1)の可能性も十分にあったと考える。なにわ筋連絡線・新大阪連絡線の直通を前提に考えたとき、新大阪連絡線と宝塚線には並走区間があり、宝塚線との連絡線の整備距離は短い (また、前述のように、1994年時点での計画では新大阪連絡線は淡路駅に達し、京都線・千里線と直通する)。

ただし、現在では、「そもそも十三駅北側の線路用地は転売されているため、宝塚本線との合流案の実現は容易ではない」(阪急・JR西日本・南海「なにわ筋連絡線」「新大阪連絡線」検討へ – 鉄道ニュース週報(197) | マイナビニュース (2019/11/ 3)) )。

阪急新大阪連絡線・なにわ筋連絡線の2031年開業方針が発表

2022年12月27日、阪急阪神ホールディングスの 嶋田泰夫 副社長(当時。2023年3月から同社社長)が、産経新聞のインタビューで、阪急新大阪連絡線(新大阪-十三)、及び なにわ筋連絡線(十三-うめきた)の2031年開業方針を明らかにしました:

<独自>阪急十三駅と新大阪、うめきたを結ぶ新線、13年開業へ – 産経ニュース 2022/12/27 (2023/3/12アドレス先確認、引用)

阪急阪神ホールディングス(HD)の次期社長に来年3月1日付で就任する嶋田泰夫副社長が27日、産経新聞のインタビューに応じ、阪急十三(じゅうそう)駅から、JR新大阪駅と、大阪駅北側の再開発地区「うめきた2期」の新たな地下駅「大阪駅」を結ぶ阪急電鉄の新線を、それぞれ令和13年に開業させる方針を明らかにした。新線は大阪駅が出発駅となる「なにわ筋線」と同じ「狭軌」と呼ばれる線路幅を阪急としては初めて採用するため、十三駅から関西国際空港方面に乗り換えなしで移動できる。

新大阪連絡線、及び なにわ筋連絡線の検討等のために、十三駅で旅客流動調査の実施された(2022年10月)ことは知っていましたが、完全に立ち消えになった計画だと思っており、驚きました。

十三駅におけるカメラ画像を用いた流動調査の実施について 阪急電鉄, 2022年10月4日 (2023/3/12アドレス先確認、引用)

阪急電鉄では、現在計画しているなにわ筋連絡線・新大阪連絡線(※)の検討の一環として、十三駅における混雑箇所、旅客流動および列車内の混雑状況の把握を目的に、駅構内へのカメラ設置を実施いたします。本調査では、カメラにより十三駅構内および十三駅停車列車を撮影し、各車両扉の乗降人数、昇降設備の利用人数、列車内の混雑率などの計測を行います。また、得られたデータを用いて流動シミュレーションモデルを構築し、お客様のご利用状況を再現することで、今後のなにわ筋連絡線・新大阪連絡線のホームやコンコースをはじめとした駅施設の配置の検討等に役立てていきます。

1. 調査実施時期 2022年10月24日~10月28日(予定)

毎日新聞の大阪都218億円誤報問題、まず朝日新聞が訂正

毎日新聞が、大阪市を4政令市に分市した場合の年間コストを、今回の住民投票で問われている4特別区に再編した場合の年間コストと同じとして扱い、年間 200億円程度のコスト増になるとみられるとした記事(2020/10/26 夕刊)を掲載した問題。

毎日新聞の記事の後、同様の記事を掲載した朝日新聞が訂正を行いました。

* * *

産経新聞の解説
「大阪市4分割で218億円コスト増」報道に市「誤解生じる」 (2020/10/27)

27日には制度設計を担った大阪市の担当部局などが緊急記者会見を開き、「人口約270万人の大阪市を単純に4つの政令市に分割した場合、標準的な行政サービスにかかるコストが毎年度約218億円増加する」との一部報道により「市民に誤解が生じている」として、「特別区に移行した場合の数字ではない」と異例の説明を行った。

問題の毎日新聞の記事 (2020/10/26 夕刊)

大阪の繁栄から落日、縮図としての小林一三と岸信介


8:21~

自由主義経済で繁栄した大阪が、統制経済によって伸び悩む。

これを見て思い出すのが、1940年代初頭の 自由主義経済派の小林一三 vs 統制経済派の岸信介 の戦いである。

関連:
岸 信介 政治 – 一三ネットワークの100人 – 阪急文化財団