天皇陛下の「お気持ち」を拝聴・拝読して考えたこと

天皇陛下の「お気持ち」を拝聴・拝読して考えたこと8月8日 午後3時に発表された、  天皇陛下の「お気持ち」を拝聴・拝読して考えたこと:

  (賀歌の意味合いを込めて)
  君が代は 千代に八千代に さざれ石の 巌となりて 苔のむすまで

特設 天皇陛下 お気持ち表明|NHK NEWS WEB

(1) 日本国憲法下における天皇の二重性

お言葉で気づかされたのが、日本国憲法下における天皇の二重性です。

私は、日本国憲法 第一条を「天皇は、日本国及び日本国民統合の象徴であつて」と誤って憶えているほど、ひとつの概念であると考えていました。

正しくは「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて」です。

お言葉で気づかされたのが、「日本国の象徴」と「日本国民統合の象徴」は、それぞれ別の概念であるということです。

お言葉には、以下とあります:

私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。

「日本国の象徴」としての『国民の安寧と幸せを祈ること』(:祭祀)と国事行為は、皇居等の定置で行われますが、「日本国民統合の象徴」として『人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うこと』は、人々のいる皇居以外の場所に移動して行われます。

両者の両立は、難しいのです。

ここで思い出したのが、明治憲法下での天皇の二重性です。

昭和史で有名な 半藤 一利 氏は、以下のように語っています。

実は私は、昭和天皇には三つの顔がある、と考えているんです。ひとつは「立憲君主」としての天皇、もうひとつは陸海軍を統帥する「大元帥」。そして両者の上位にさらに、皇祖皇宗に連なる大祭司であり神の裔である「大天皇」がおわす、というのが私の仮説です。

(半藤 一利, 保阪 正康, 御厨 貴, 磯田 道史 : 「昭和天皇実録」の謎を解く (文春新書, 2015) pp.100-101.)

明治憲法下では、天皇は、立憲君主と大元帥の二重性をもっていました。

天皇の二重性は、天皇を多忙にし、権威と権力を分離する効果をもった構造であったと、私は管見します。

(2) 権威の機能と、その確保

お言葉には、以下とあります:

天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。

権力が機能をもつことば考えれば、権威もまた機能をもちます。

国際化社会において、国の権威の機能が不安定になりうることは損失でしょう。権威の機能の確保は、重要な課題です。

初出:
Facebook 2016/ 8/11

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