東 浩紀「一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル」

     

評価・状態: 得られるものがあった本★★☆



購入: 2011/12/ 9
読了: 2012/ 2/12 [2+]

Twitter / @sasakitoshinao: 「一般意志2.0」読了。政治の分野で10年代において最も重要な本になると思う。でもこれ今の日本社会の決定権のある層で皮膚感覚的に理解できる人はきわめて少なそう。50年後には理解されてるのでは。

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東 浩紀氏の「一般意志2.0」を肴に。引き算と足し算

記事ページ 発行: 2012年02月12日

東 浩紀 : 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社, 2011) (特に、一章 〜 一三章)は、知的ネット社会に対する私の考えを相対化することに大いに役立った。

なお、著者の東氏は、p.220 以降の 一四章・一五章を論の中心に据えていらっしゃるのかもしれないが、ここでは一三章までについて言及する。

東 浩紀 : 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社, 2011) pp.176-177.

 すべての省庁の審議会や委員会を、あるいは法案条文作成の模様を例外なく中継する徹底した可視化国家。政治家と官僚と学者が集う会議室には必ずカメラとスクリーンが用意され、議論はすべてネットで公開され、他方で室内には、数千数万の聴衆の反応を統計的に処理し、タググラウドやネットワーク図で映像化してダイナミックにフィードバックするモニタが用意されたインタラクティヴな政府。とくに気負うことなく、ただだらだらと Ustream やニコニコ動画の画面を立ち上げ、中継画像を見てコメントを打ち込むだけでその呟きが回り回って政策審議の行方に影響を及ぼす、ひきこもりたちの集合知を生かした新しい公共の場。熟議とデータベース、小さな公共と一般意志が補いあう社会という本書の理想は、ひとつにはそのような制度設計を目指している。


東 浩紀 : 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル (講談社, 2011) p.192.

集合知はあくまでも熟議に対する抑止力としてのみ用いるべきだと考えている。ひらたく言えば「ツッコミ」にのみ使うべきだと考えている。だからこそ、筆者はニコニコ生放送の例を挙げた。


東氏は、ネットの集合知を熟議に対する抑止力としてのみ用いるべきだと考えている。しかし、抑止力のみによって、道が指し示されるだろうか。

ネットの集合知で引き算をしたぶん、足し算をするネットの集合知が必要ではないか。抑止力によって、八方ふさがりになった熟議に、風穴を提供できるようであるべきではないか。

この足し算・風穴は、熟議にとって導入コストが安くなければならない。熟議の作法に則った、ちゃんとした文章、あるいは熟議の事務方がちゃんとした文章を即座に製作できるような種文章が供給されねばならない。

私が目指しているのは、このような文章・種文章が生まれ、活用され、実社会を向上させる知的ネット社会である。

 

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