戦力化された軍用機は、「彩雲」以外すべて戦前に設計が始められた

内藤 子生 (2007), 艦上偵察機彩雲 開発プロセス. 土井 武夫, 本庄 季郎, 曽根 嘉年, 佐藤 栄太郎, 内藤 子生, 足立 栄三郎, 碇 義朗 : 軍用機開発物語―設計者が語る秘められたプロセス (光人社NF文庫) p.172

 本機は、太平洋戦争開始後に設計がはじめられた数多くの飛行機のなかで、唯一の量産に成功した飛行機である。

すなわち、戦力化された軍用機は、「彩雲」以外すべて戦前に設計が始められた。東亜太平洋戦争の開戦は、1941年12月 8日だが、零戦は1937年 9月に性能要求書が出され、B-29爆撃機の試作機 XB-29 は 1940年 6月27日 に発注された。

速水太郎翁頌徳碑の碑文より

帝釈川貯水池神龍湖畔 矢不立城址 にある速水太郎翁頌徳碑の碑文より。

碑文は、徳富蘇峰による。

故速水太郎氏伝記編纂係, 吉岡 正春=編纂 : 速水太郎傳 (吉岡 正春, 1939) pp.209-210. (読みやすくするため、一文ごとに改行をいれた)

帝釈貯水池ハ君カ晩年ノ事業トシテ渾身ノ努力ヲ傾注シタルモノナリ

君ヤ躬ラ前人未踏ノ深山幽谷ヲ跋渉シ最高科学ニ立脚シ遂ニ日本ニ於テ未タ何人モ試ミサル貳百尺餘ノ高堰堤創築ニ成功シ大正十三年三月貯水池ハ水深百八十尺ノ碧水ヲ湛ヘ上流一里半餘ニ亙ル渓谷ニ滾々トシテ竭キサル一大湖水ヲ出現セシメタリ

是レ實ニ君ノ烱眼ト確信ニ據ルモノニシテ君カ不朽ノ功績ト為ス

尋テ創設セル飾磨火力発電所ハ本邦最高ノ高圧高温発電所ニシテ今日諸設備ノ完璧ト共ニ斯界ノ王座ヲ占メ多大ノ貢献ヲ為シツ、アリ

是君ガ掉尾ノ事業トシテ心魂ヲ傾ケタル努力ノ結晶ニシテ開拓者トシテノ君ノ功ト労トハ永遠ニ消滅セサル光ヲ放ツモノト謂フヘシ

古典物理学を社会的に解釈する

古典物理学を社会的に解釈しました。

 古典物理学を社会的に解釈する

● 「ニュートンの3法則」の社会的解釈

 ・何もしなければ、そのままだ。
 ・(理想的には) やったら、やっただけのことはある。
 ・やったら、やり返される。

● 「熱力学の法則」の社会的解釈

 ・現実はひとつだ。
 ・現実は保存される。
 ・変換すると劣化する。
 ・あり得ないことも表現できる。

● 「マクスウェルの方程式」の社会的解釈

 ・影響力のある虚数場は存在する。
 ・虚数場が変化すると、実数場が変化する。
 ・実数場は実数要素を源にする。
 ・実数場が変化すると、虚数場が変化する。

なお、物理の解釈である物理法則を、社会の解釈に用いることは、適用範囲(スコープ)を逸脱するので、物理の解釈として十分に確からしいからといって、社会の解釈として十分に確からしいとは言えず、危険性をはらんでいます。

新製品普及のための5つの条件

槌屋 治紀 : 燃料電池と水素エネルギー 次世代エネルギーの本命に迫る (サイエンス・アイ新書, 2007) p.141.

新製品普及のための5つの条件([米国ニューメキシコ大学教授] ロジャーズ)

(1) 相対的優位性 (リラティブ・アドバンテージ)
 既存のものに比較して有利であること

(2) 互換性 (コンパティビリティ)
 現状から無理なく乗り替えられること

(3) 複雑性 (コンプレキシティ)
 複雑でないこと

(4) 試行可能性 (トライアビリティ)
 すぐに試してみることができること

(5) 視認性 (オブザーバビリティ)
 ほかの人にもその効果が見えること

安全と安定の両立

原発事故をうけて、「安全と安定の両立」という文言が新聞紙上に表れている。

『「安全と安定を両立」しなければならない』ことが顕在化されたことは喜ばしい。

しかし、『いかにして「安全と安定を両立」するのか』。この解を得ることが非常に難しいという認識がもたれなければならないだろう。

安全と安定はトレードオフの関係にある。トレードオフの解決が、両立を可能にする。

しかも、コストに関わる問題であるため、最良の解答が要求される。

複雑なトレードオフ問題を解く手法は、シミュレーションが一般的だが、それにはシミュレーション対象に通じた優秀な頭脳をある程度の期間、投じる必要がある。

対数グラフ

● 普通のグラフ( y-x )

グラフ上の直線は、y=ax+b, dy/dx = a (一定) を表わす。

● 片対数グラフ( log(y)-x )

グラフ上の直線は、y= exp(ax+b), dy/dx = ay を表わす。

dy/dx = ay の性質は、x を時間(t)にとる場合によく見られる。

無限に分裂する細胞を考え、 y をある時刻における細胞の個数として、a を単位時間にその細胞が分裂して新たに生まれる細胞の数だとすると、

 dy/dt = ay, y= exp(at+b)

を満たす。a が負の値をとる場合の例は、大気圧力 p と高度 z の関係(山の上では大気圧が低い)、

 dp/dz = (- g/R/T) p, g: 重力加速度、R: 空気の気体定数、T: 温度

や、崩壊によって減少していく放射性核種の数 y と時間 t の関係を表現できる。

y方向に極端に範囲の広いデータを扱える。

● 両対数グラフ( log(y)-log(x) )

グラフ上の直線は、冪関数(べきかんすう) y= x^a, dy/dx = a*x^(a-1) を表わす。

グラフ上の傾きが、a を表わす。

x,y 両方向に極端に範囲の広いデータを扱える。

自動車メーカーの未来

移動体とは、重量と機関出力のトレードオフを高度に解決した製品である。特に、乗り物は、さらに安全性の問題も解決した製品である。

さて、電気自動車などモータを機関とする自動車は、インバーターとモーターとの組み合わせによって、機関自身に物理的なトレードオフを抱えない…と、まで書いたら言い過ぎかもしれないが、熱機関であるエンジンよりは機関自身に物理的なトレードオフをもっていない。

自動車メーカーがモータを機関とする自動車の生産に主軸を移した時に、自動車メーカーが、ガソリン自動車メーカー時代と同じ高度さの、部品(ある機能を持った部品の集合体を意味するコンポーネントをも含む)がもつトレードオフを見据える「分析の目」を持ち続けることは困難だろう。モーターやバッテリーの能力と重量のみを考える、分析的でない視力しか持たなくなるかもしれない。

たとえ、自動車部品から、部品がもつトレードオフがなくなったとしても、自動車関連の機械には、そのトレードオフが内在する。自動車メーカーが、関連する機械がもつそのような性質を理解できるか、これが将来における自動車メーカーの社会における地位を決めるひとつの要素になると考える。